事例5.業務用無線機の高周波(RF)部 生産中止(EOL)コンデンサの変更
<概要>
業務用無線機の送信部で使用している国内大手メーカのコンデンサが生産中止(EOL)となるため、ディスコン対象のコンデンサ部品を再選定しました。 この無線機はマイクロ波の400MHz帯で使用されるものです。 ディスコンとなるコンデンサは1608サイズおよび2012サイズであり、代替コンデンサは国内メーカ、海外メーカなど複数社を提案し、現行コンデンサからの変更に対するメリット、デメリットを示した上で、お客様に選択していただきました。 また、無線機などの高周波(RF)回路機器では、高周波(RF)特有の整合調整が必要となるため、主要部品(RFICやRFディスクリートなど)間のインピーダンス整合を代替コンデンサで調整した後、無線機の各種無線特性を検証しました。 この事例は、基板改版をしないでコンデンサを変更するご要望に対して、代替コンデンサの定数変更だけで実現したものです。もちろん、コンデンサを2012や1608サイズから1005や0603サイズへの変更など、部品の小型化を含めたディスコン対策をご要望であれば、基板レイアウトの改版と併せて対応することも可能です。
<工程>

<検証項目>
無線機の各種評価項目
- 周波数偏差
- 占有帯域幅
- スプリアス強度
- 空中線電力
- 隣接チャネル漏洩電力
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- 事例1.絶縁型(フライバック型)電源に使用されている部品のEOL対応
- 事例2.電源回路部品のEOL対応に伴う実装基板の小型化
- 事例3.デジタル制御電源アイソレーション回路変更
- ~「ハード」な課題を「ソフト」な発想で解決~【EOLお悩み解決ストーリー】

みなさんこんにちは。WTI構造技術課の松前です。

みなさん、こんにちは。
皆さんこんにちは。
今週、社内で技術交流会が開催され、当社のユニーク技術サービスの1つである、「リバースエンジニアリングPlus」を担当している技術者から報告がありました。
「リバースエンジニアリングPlus」のサービス内容の詳細については、こちらを参照ご覧ください。
田岡(仮名)のもとに、1本の電話が届いた。内容は、A社からの急ぎの相談であった。
A社は、5年ほど前まで頻繁に取り引きしていただいていたが、最近はお付き合いがなかった。田岡は、その当時A社の業務を担当していた技術者の一人である。
A社の担当者からは「自社で大型案件を受注できそうだが、数年前に担当していた社内の技術者は配置転換等でいなくなり困っている。この案件の内容は、一般用途と異なり特定用途の通信システム設計なので外注するのは難しい。」と相談を受けた。
この時、田岡は開発スケジュールが非常に厳しく技術難易度も高い内容であったので、受託開発は難しいと考え、お断りするしかないとA社へ回答した。
すると、A社からは「このような案件は、WTI以外に依頼する会社はない。WTIに断られたら、この開発プロジェクトが無くなってしまう」と云われ、田岡は社内で協議することとした。
田岡は、A社がお困りの状況を上司である小塚(仮名) に伝えると共に課員に、
「我々でなんとかやってみましょう」
と協力を依頼して、この案件を受託することができた。
受託内容は、A社にて開発製品のレベルダイヤからブロックごとに必要な仕様を算出し、当社(WTI)へ仕様を提示、WTIはそのブロックごとの製品仕様書に基づいた個別回路(部品)の設計を担当するものである。
しかし、開発予定時期になってもA社からはブロックごとの製品仕様書が一向に提示されない。
そこで、田岡は状況確認のためにA社へ出張した。
「どうやら、A社はリソース不足で製品全体の設計が進んでいないようだ。これではWTIへ外注する以前に開発スケジュールが破たんしてしまうぞ。」と感じとった。
田岡はA社に「御社がご対応予定であった製品全体の設計も、当社で対応させてください。」と提案してみたところ、「ぜひ、お願いしたい」とA社も快諾された。
自社に戻った田岡は早速、製品全体の設計に取り掛かり、レベルダイヤの作成とブロックごとの仕様を算出した。算出した仕様は、過去に対応した部品性能よりも難易度は多少上がったものの、ここはWTIの得意分野なので、二次元高周波シミュレータを用いて問題なくブロック設計を行うことができた。
この調子で今回初めて対応する全体設計の部品(基板)レイアウトに取り掛かった。基板サイズには制約があるが、田岡の独自の感性でなんとか部品配置と配線を所望の基板サイズに収めることに成功した。
「よし、順調に進んでいるぞ! このまま、所望の性能も得ることができそうだ。」と意気込み、部品レイアウトを含めて三次元電磁界シミュレータでの性能確認ステージへと移行した。
しかし、ここで壁にぶつかることとなる。
二次元高周波シミュレータで得られていた性能から大きく特性がズレているのだ。どうやら、高周波回路特有の空間結合による干渉のようだ。
田岡は高周波回路設計に長けているが、ここまでの干渉は想定していなかった。折角できたレイアウトも大きく見直しが必要になる。
「このままでは約束した納期に間に合いそうにない。。。」と考えた田岡は、応援人員を集めることにした。
集められたのは、無線機の設計に長けた大谷(仮名)、三次元電磁界シミュレーションに長けた野口(仮名)、基板レイアウトに長けた水戸(仮名)の3名だ。
大谷が経験則に基づいて回路ブロックの再配置を提案し、それに合わせて水戸が配線技術を駆使して所望サイズのレイアウトを行う。更に、野口が三次元電磁界シミュレーションを行い、問題の有無を確認する。
このプロセスを何度も繰り返して、遂にレイアウトを完成させた。しかも、田岡が一人でやった場合の想定時間に比べて、3分の1の時間でだ。
結果的に、納期よりも1週間遅れとはなったが、A社からは感謝の言葉をいただくことができた。
「この案件を自社で対応するには、人的リソースも時間も足りないので、この期間での完成は不可能であった。それに、今回のように高周波の様々な開発案件を依頼できる会社は他になく貴重な存在なので、今後ともよろしくお願いしたい!」
田岡らWTIメンバーは「このような言葉をいただけるからこそ、この仕事は面白いんだよな」と達成感に包まれた。
と同時に、「でも、WTIがやり遂げられなかったら、お客様の開発プロジェクト自体が無くなってしまうのは、責任が重大だ。。。」という重圧も改めて感じたのである。
「さぁ、次はどのお客様のお困りごとを解決してみようかな?!」
田岡らWTIメンバーは気持ちをさらに引き締め、今日もお客様の開発を支援し続けている。
みなさん、こんにちは。
株式会社 Wave Technology 高周波設計第二課の大塚です。
新サービス開始しました!
その名も
(拍手ありがとうございます!?)
WTIブログ
WTIの技術サービスの真骨頂は「組合せ」です。
お客様が驚く位の保有技術の幅がありますので、複数の技術サービスを組み合わせて、ソリューションとしてご提供しています。