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アンテナを設計するときに注意すべきこと

みなさん、こんにちは。
株式会社 Wave Technology 高周波設計第二課の大塚です。

前回から引き続き、今回も通信機器に必要不可欠な“アンテナ”について少しお話しようと思います。(前回はこちら。
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一言で“アンテナ”といっても様々な種類が存在します。
まずは、無線通信機器でよく使用されているアンテナについて、その特徴と合わせて記載しておくことにします。

■無線通信機器で使用されるアンテナ

①  半波長(λ/2)ダイポールアンテナ

・使用する周波数の波長λに対して、長さが半分(λ/2)のアンテナ
・効率が良い

②  接地型λ/4モノポールアンテナ

・半波長ダイポールアンテナの片側を接地(GND)した、長さがλ/4のアンテナ
・GNDが非常に重要
・小型化のために多く利用されている

③  チップアンテナ

・高誘電率のセラミックス(アルミナ基板etc)を使い、チップ内にパターン形成したアンテナ
・形成パターン:接地型λ/4モノポールアンテナ
・広帯域で小型

④  パターンアンテナ

・実装基板上にパターン形成したアンテナ
・形成パターン:接地型λ/4モノポールアンテナ(逆F型・メ(ミ)アンダ型など)
・多少利得が落ちるが小型
・チップアンテナと比較して安価

それでは、本題にはいりましょう。
タイトルにもあるとおり、ここからはアンテナを設計するときに注意するポイントについて話していこうと思います。

アンテナは接地(GND)が大事!

アンテナの設計では、接地(GND)がとても大事だということを覚えておいてください!特にGNDがアンテナの一部として機能するタイプのもの(モノポールアンテナ)は、「形・大きさ(広さ)・配置」を意識して設計する必要があります。

部品実装スペースなどの制約でGNDに安易な変更を加えてしまうと“特性が出ない”とか“通信距離が短い”といったトラブル発生に繋がることがありますので注意が必要です。

パターンアンテナを使用する場合は基板に注意!

パターンアンテナを使用する場合は基板の「厚さ・材料」信号ラインの「厚さ・幅」に注意が必要です。パターンアンテナは高周波部品なので基板の厚さや材料が異なると回路の特性に違いが発生するためです。

下の表のように、IoT/M2M製品で使用されるLPWAでは主に920MHz帯が使用され、近距離無線では2.4GHzが使用されています。この周波数1GHz付近から上の高周波信号にとって、基板のちょっとした違いは“無視できない大きな違い”になりますので要注意です。

分類

通信方式

到達距離
(最大)

伝送速度

利用帯域
(日本)

LPWA

(Low Power Wide Area)

SIGFOX 50km 約100bps 920MHz帯
LoRa(LoRaWAN) 15km 約250kbps 920MHz帯
Wi-SUN 1km 約800kbps 920MHz帯
NB-IoT(LTE-NB1) 20km 約100kbps LTEバンド
近距離無線 Bluetooth(BLE) 数十m 約1~3Mbps 2.4GHz
ZigBee 数十m 約250kbps 2.4GHz

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基板ができたらまず仕上がりを確認!

これもよくあることなのですが、基板を製造するメーカーさんが違うと同じ図面をもとに全く同じ基板を製作したつもりでも、材料の違いや製造設備、製造工程の違いにより基板の高周波的特性が異なっている場合があります。初めて基板を作成した場合は、“狙いどおりの基板ができているのか”寸法はもちろんのこと高周波特性についても確認することをおすすめします。

アンテナの周辺に注意!

アンテナを設計するときは周辺の金属や樹脂を考慮して設計するようにしてください。
金属には電波を反射させる効果があるため、アンテナの一部(GND等)ではない金属があると上手く放射しない場合があります。
また筐体などの樹脂も要注意です。実効誘電率に変化を及ぼしてアンテナの周波数特性を変化させてしまいます。
それから、水中や地中では電波が遮断されてしまいますので、せめてアンテナ部分だけは大気中に露出するように設計してください。

これらのポイントを押さえておけばアンテナ設計はバッチリです、と言いたいところですがそうではないところがアンテナ設計(高周波回路設計)の難しいところだと思います。

もし、「ポイントは押さえているのに思ったほど通信距離が取れていない」など、お困りの場合は次の改善策の検討をお勧めします。
大変だと思いますが、試してみてください。

■アンテナ通信距離の改善策

①   アンテナの形状変更(アンテナパターン変更やGNDパターン変更)

②   アンテナそのものを変更(アンテナ利得の良いものに交換)

③   整合回路の調整(部品の変更や回路パターンの変更により回路インピーダンスを調整)

④   回路利得の改善(利得の大きなアンプに変更、ロスの大きな部品を変更)

⑤   アンテナ放射の改善(放射の妨げになっている箇所の修正・変更)

ここからは宣伝になりますが(^_^;)、当社では①~⑤の全てに対応するサポート業務を行っていますので、ちょっと相談してみたいなと言うお客様がいらっしゃいましたらお気軽にお問い合わせください。(ご相談料はいりません)

それでは、次回またお会いましょう(^^)/

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