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高周波電力増幅器のメーカー推奨回路を変更したいとき(回路サイズの変更)

みなさん、こんにちは。システム設計課の尾崎です。

今回は高周波電力増幅器(特に大電力用)の推奨回路を変更するときに気を付ける項目について簡単にお話しします。(当社の高周波電力増幅器の開発実績はこちら

 

■ 推奨回路を変更するのは大変?

初めて使用する高周波電力増幅デバイスの場合、メーカー様のアプリケーションノートなどに記載されている推奨回路をもとに回路を作成されると思います。

多くの場合、推奨回路の配線パターンをそのまま流用するのではないでしょうか。

しかし、推奨回路の中には配線パターン面積を大きくとっているものがあり、製品内に収まらなくて困ったなんて経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

高周波回路の場合、コンデンサやインダクタ、抵抗といった部品の他に配線パターンも回路を形成する高周波部品として見える(分布定数)ので、回路を小さくするために配線パターンを変更することは容易ではありません。

配線パターンを変更すると必ずインピーダンス整合を見直す必要があり、途端に設計難易度を上げてしまいます。

このように、高周波回路の変更に際しては、変更内容に応じて気をつけなければならない項目があります。この注意すべき項目を次にご紹介いたします。

 

■ 高周波回路を変更する場合に気を付ける項目

項目 理由
①インピーダンス整合
  • 基板、部品、配線パターンを変更すると必ずインピーダンス整合のズレが発生するため、変更後は整合調整が必要である。
②電流許容量
  • 出力電力が大きい場合、配線パターンを細くしすぎると配線パターンの電流許容量を超えてしまう場合がある。
③発熱
  • ②の電流許容量とも関係するが、配線パターンを細くすると電流量が大きい場合、配線パターンが発熱する場合がある。
  • 配線パターンの熱を誘電体(基板)に放熱していた場合、配線パターン面積を縮小することで放熱が足りず配線パターン温度が上昇することがある。
  • 放熱方法(経路)が変わることで動作時の各種温度が上昇する。
④発振
  • 配線パターンの引き回し方を変更することで配線間で高周波が結合して、発振経路が形成される場合がある。
  • バイアス回路の配線パターン変更をする場合、配線パターン自体を高周波部品(整合回路)として使用している場合もあるため、バイアス回路が高周波的にどう見えているのか考慮する必要がある。バイアス回路のインピーダンスが整合回路のインピーダンスより十分に高くない場合は発振のループ経路になる場合があるため注意が必要である。
⑤部品の最大定格
  • 回路規模を小さくする目的で部品サイズを小さくする場合、部品の最大定格を超えないように注意が必要である。特に高周波電力増幅デバイスの出力側に使用する部品は要注意。高周波電力増幅デバイスの出力端に近い部品は高周波電流に対して考慮が必要で、逆に高周波電力増幅デバイスから遠くなる(回路の出力端に近くなる)につれて高周波電圧に対して考慮する必要がある。

 

■ 高周波回路の設計いたします!

ここまで、高周波回路を変更する際に気を付ける項目を挙げましたが、いずれかの項目でお悩みというお客様がいらっしゃいましたら、お声がけください。

WTIには高周波回路を設計できるエンジニアが多数在籍しておりますので、当社でお役に立てるかもしれません。

また、WTIでは高周波電力増幅デバイスの選定から設計・評価・技適認証までワンストップで幅広く対応いたしておりますので、新規設計やEOL対応などございましたら、お気軽にご相談ください。

 

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