みなさんこんにちは。WTI応用機器設計第二部 部長の矢野です。
近年、当社にも人手不足や生産性の向上といった働き方改革を背景としたお問い合わせが増えてきております。今回は、最近取り組んだデータ自動解析の事例を紹介します。
WTIでは、カスタム計測システムの延長で、お客様の設計生産性の向上を目的に「データ自動解析」「データ編集ツール」といったツール提案を行っております。
今回紹介する事例は、電気電子系とはまったく異なる業種のお客様からのリクエストに対するデータ自動解析ツールの取り組み事例となります。
ここでは、動力を伝達するための”手動操作を行う機械”ということにしておきますね。
設計、及び研究開発の現場では、人の感覚に頼りデータを取得・分析している場面が多く見受けられます。
データを膨大に取得するお客様であれば、業種によらず、悩みは共通であることをあらためて認識するとともに、WTIのデータ自動解析は、お客様に貢献できる余地がまだまだあるんだな~と感じました。
今回のお客様は、対象となる機械に対し、手動操作に対する感応評価を定常的に行っていましたが、現状の方法では評価後に行うデータ解析に大きな課題をかかえていることがわかりました。
1.解決以前の作業内容
①手動操作する機械であり、感応検査を目的とした操作を繰り返し行う。
②各種センサ情報を波形データとしてデータロガーで長期間記録。
③記録した波形データから、必要な情報を手動で抽出。
④各種抽出データの関係性から、操作性を改善するためのポイントを洗い出す。
2.課題
最大のポイントは、記録した波形データから必要な情報を抽出する作業であることがわかりました。
①膨大なデータ量であり、1ヶ月程度かかる場合もある。
②解析波形からポイントを選択する際、あいまい部分は人が判断しているため解析結果に作業者依存がある。(限られた人でないと解析できない)
③解析が完了するまで、対象とする機械の段取り替えができない。
⇒生産性が非常に悪い。
3.解決提案
WTIは”データ自動解析”により課題を解決する提案を行いました。
①現在手動で行っている解析を自動化する。(データ自動解析)
②自動化(データ自動解析)のメリットとして、人に依存する曖昧さがなくなり、解析結果に一貫性が出る。
③解析結果から解析の元となった波形を呼び出し、手動でポイントを再設定できる余地も残す。
⇒手動解析との比較や、操作イレギュラーによる異常データの抽出等、手動解析の余地を残すことでデータ解析に柔軟性を持たせる。
最大のポイントは、自動化の手法検討に加え、人が判断している曖昧さをどこまで自動化するか?という点でしたが、
①過去の実績をベースにデータ自動解析の手法を提案。
②データ自動解析の結果から、元波形を再呼び出しして手動解析も行える余地を残す。
という形で、データ自動解析を前提としつつ、手動解析によるフィードバックも可能にするというアプローチを取ることにしました。
結果として下記のような感想をいただけ、お客様とともにツールの効果を実感することができました。
①データ解析効率が大幅に改善(最大1ヶ月が1週間程度で完了)
②評価効率自体も大幅に改善(データ解析後でないと次の評価に移行できないため)
③視覚化にも配慮されておりデータ整理にも役立っている。
必要なパラメータ間の相関関係をツール上で視覚化できるようにしたことで、イレギュラーデータを即時判断できるようになった。
④解析方法に柔軟性があり、曖昧な挙動を示しているデータに対しても対応ができて便利。(自動解析後に指定データを再呼び出しして手動で再解析できるようにした。)
⇒データ自動解析を取り込みつつ、人の曖昧さも許容できるようにすることが、満足いただけるポイントだったと思います。
いかがでしたでしょうか。
今回は、生産性の向上を目的としたテーマでしたが、データ自動解析は、IoTの時代、設備の状態監視にもつながるサービスです。
カスタム計測システムで保有する技術サービスと組み合わせることで実現できるサービスは、まだまだ沢山あります。
お客様の課題に対し解決提案することがWTIのサービスの特長です。
ご興味のある方はご連絡お待ちしております。
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