前回に続いて伝導エミッション(雑音端子電圧)のお話をします。
V型電源インピーダンス安定化回路網(以下、LISN)の雑音端子は、ノーマルモードノイズとコモンモードノイズを両方が見えますが、図1に示した⊿(デルタ)型LISNはスイッチの切替でノーマルモードノイズとコモンモードノイズを分離して観測することができます。
図1. ⊿型LISN*1
ノーマルモードノイズを確認する時は図2のようになります。
トランス1次側で流れ込むノーマルモード電流は、そのまま2次側に誘起されるので、測定器で観測できます。
図2. ⊿型LISN(ノーマルモードノイズ測定時)
コモンモードノイズを確認する時は図3のようになります。
トランス1次側の電源線および中性線から流れ込むコモンモード電流は、1次側の中間タップから測定器を介して接地線へ流れます。したがって測定器が示すノイズは、コモンモードになります。
このように⊿型LISNはノーマルモードノイズとコモンモードノイズをワンタッチで切りかえることができるため、ノイズのモードに応じた対策検討が効率よくできます。
図3. ⊿型LISN(コモンモードノイズ測定時)
*1 CMDM8700 (SCHWARZBECK社)データシートを一部抜粋