分布定数回路とは、配線の距離が有限の電気・電子回路のことを指します。
分布定数回路の反対の概念は集中定数回路です。
分布定数回路とは何かを理解するためには、まず集中定数回路の特徴を理解し、次に「集中定数回路ではない回路」として分布定数回路を理解してみましょう。
それでは、まず集中定数回路とは何でしょうか。
それは、配線の距離がゼロである電気・電子回路のことです。
勿論、現実にはそのような回路は存在しませんが、回路計算の近似的解法なのです。
距離ゼロの集中定数回路が持つ性質は次のようなものです。
- 配線や部品の距離・寸法がゼロなので、信号伝達時間もゼロ
- 線路は寄生成分を持たない
- 線路上の電圧はどこでも同じ
とてもシンプルで気持ちがいいです。
集中定数回路に馴染んだ技術者にとっては、どれも当然のことですが、実は集中定数回路特有の性質なのです。
分布定数回路の性質は、集中定数回路の反対です。
- 配線や部品の距離・寸法が有限なので、信号伝達時間が有限
- 線路が寄生成分を持っているため、線路自体が回路の性質も持つ
- 線路上の電圧は場所によって異なる
従って、分布定数回路で回路計算する場合は、信号伝達遅延、線路自体が回路動作に与える影響、定在波などを考慮する必要があります。
これらは、いかにも面倒そうです。
信号の伝達遅延があったり、線路の長さなどによって回路動作が異なったり、場所によって電圧が異なる線路は理解しづらいですよね。
集中定数回路が普通で、分布定数回路が特殊だと思うと、そんな気持ちにもなってしまうのですが、本来は分布定数回路の方がより普遍的な解法で、集中定数回路の方が特殊性を持った近似解法なのです。 ある条件を満たしたときにのみ、この近似解法の集中定数回路が使えます。
そのある条件とは、回路の寸法と信号の波長を比較して、回路寸法が波長に対して充分小さいということです。
この「充分」という表現は曖昧なのですが、それは回路設計の要求する厳密さや回路が使用される用途などにより許容度が変化するために厳密な規定がないのです。
しかし、だいたいの目安としては、回路寸法が波長の数%~数十%を下回ると集中定数回路が適用可能であると判断をすることが多いようです。
最後に、なぜ「分布定数」と呼ぶのでしょうか。
何が分布していると言うのでしょうか。
分布しているのは、インピーダンスです。 配線にインピーダンスが分布していることを指しています。
例えば、同軸線路は外部導体と中心導体の間にポリエチレンなどの誘電体を挟んでいますのでキャパシタンスを持っていますし、信号の進行方向にはインダクタンスを持ちます。 これらは回路部品のように個々に配置されているのではなく、連続的に分布していることから「分布定数」と呼んでいます。
分布定数回路の学習は、少々とっつきにくいと感じることが多いかもしれません。
そのため、独学するのはちょっと難しいかもしれませんね。
専門家の下で指導を受けて習得していくのが近道です。
仕事で分布定数回路を取り入れなくてはならなくなった場合は、習得に使える時間が限られていますので、なおさらそうでしょう。
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