![](data:image/gif;base64,R0lGODlhAQABAAAAACH5BAEKAAEALAAAAAABAAEAAAICTAEAOw==)
みなさんこんにちは。システム設計課の米谷です。
私はアナログ・デジタル機器の設計を行っております。今日はその中で「SPICE」を使った回路検証にスポットを当ててお話しします。
ここでの「SPICE」とはシミュレータとしてのSPICEとさせていただきます。
回路設計をしていると時々、『部品の生産中止に伴い代替部品を使用したらシステムが動かなくなった。』、『部品点数削減のため構成を変えたら動作しなくなった。』などの話を聞くことがあります。
これは部品の特性が変わることで、回路が発振してしまったり、信号が減衰してしまったりすることが原因であることが多いです。
WTIではこのような問題をあらかじめ発見し、製造前に対策しておくことで手戻りを防ぐためにSPICEを使った検証を実施することがあります。
SPICEでは様々な検証が可能ですが、本日は簡単に下記フィルタを例としてどのような検証をするかをお話しします。
下図のようにフィルタの構成を変更して部品点数を減らしたい場合、10 MHzでの減衰特性が合うように設計したとします。
![](https://www.wti.jp/wp/wp-content/uploads/2019/09/190924-1.png)
この回路をSPICEでACシミュレーションしてみると、下記波形の①のように10 MHzの減衰特性は一致しています。ここは設計どおりで問題なし。
しかし変更後の回路では、例えば②の200 kHzの信号も1/10(-20 dB)に減衰してしまうことがわかります。
つまり使いたい信号の帯域によってはこの案はNGとなってしまう可能性があるのです。
![](data:image/gif;base64,R0lGODlhAQABAAAAACH5BAEKAAEALAAAAAABAAEAAAICTAEAOw==)
ANALOG DEVICES LTspice® 実行結果を引用
URL : https://www.analog.com/jp/design-center/design-tools-and-calculators/ltspice-simulator.html
この回路であれば机上計算で求めることも可能ですが、実際には後段の回路構成の影響なども考慮する必要があります。周辺回路込みで検証するためにはSPICE検証は有効な手段といえるでしょう。
![](data:image/gif;base64,R0lGODlhAQABAAAAACH5BAEKAAEALAAAAAABAAEAAAICTAEAOw==)
ワンポイントアドバイス:
フリーのSPICEシミュレータであるLTspice®の場合、以下のような記述を追加することでシミュレーション後に特定の周波数での値を抜き出すことができます。
波形ビューアーでカーソルを使って測定するより簡単なので、設計時に値を確認するのに便利ですよ。
.MEASUER AC G1 FIND V(OUT1) AT 10MEG
コマンドの意味は以下のとおりです。
コマンド |
意味 |
.MEASURE AC |
AC解析に対する測定コマンド |
G1 |
測定結果の名前をG1とする |
FIND V(OUT1) AT 10MEG |
10 MHzでのV(OUT1)の値を測定する |
このようにWTIではお客様のご要望に応じてシミュレーションによる設計の妥当性確認も実施しております。
- 新規開発でシステムの実現性から検討したい
- 部品変更前後の特性変化を事前に確認したい
などの設計が必要な場合は是非、お問い合わせください。
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