みなさん、お久しぶりです。
株式会社Wave Technology 通信設計第二課の河越です。
現在私は製品の維持設計業務を担当しています。
前回(2017年12月12日)のブログではアナログ部品のFETを変更する場合の検証内容を紹介しました。今回はA/D Converter(以下ADC)の置換えを紹介します。
ADCの置き換えは、予め「どんな性能のADCが使われているか」と、「ADCはどう制御されているか」を確認しなければなりません。確認する項目を以下に記します。
ADCの性能
分解能 | 16bit(CD品質)か24bit(ハイレゾ品質)か |
fs周波数 | fs(サンプリング)が44kHz(CD品質)か192kHz(ハイレゾ品質)か |
ADCの制御法
電源 | 現行回路の電源に対応しているか |
動作モード | マスター/スレーブのどちらか |
制御モード | パラレル/シリアルのどちらか |
入力方式 | シングルエンド入力か差動入力か |
クロック | 現行回路のクロック信号に対応しているか |
入力レベル | 現行回路のオーディオ信号レベルに対し、入力レベル振幅規格で対応できるか |
出力方式 | 現行回路のオーディオフォーマットのデジタル信号を出力できるか |
各種タイミング | 現行回路の制御タイミングに対応しているか |
代替品はこれらの項目について、現行回路という予め決められた一つの条件を満足する部品を選定する必要があります。
しかし、そのような部品が見つかるかというと、これが難しいのです。
中止品となったADCは古いわけで、新しくコンパチのADCが出ることはまずありません。
性能については向上しているのですが、制御方式が変わったり、現行回路のクロック信号に対応していなかったりというADCになっている場合が多いのです。
そこで、各社のADC(旭化成エレクトロニクス、JRC、ローム、TI、アナログ・デバイセズ、シーラス・ロジックなど)からピックアップし、性能・制御の各項目を比較して、現行回路に対して置換え可能かどうか検討するわけです。
置換え可能なADCは、できるだけ現行回路を変更せずに済むことを目標に進めます。
そうすれば、開発期間も機器への影響を少なくて済み、自らの仕事の負担も減るのですから。
そのためにも、対象製品の回路動作や置換え部品の性能など技術的な理解を深めていくことが第一なのです。
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