整流に使用するダイオードの選定については、耐圧、電流容量、オン電圧、スィッチング時間を考慮する必要があります。
特にオン電圧は、導通損失に関係するため、効率を考えた選定が必要となります。
ダイオードは順方向バイアスされてからONするため、ターンオンの損失は発生しません。しかし、OFF時はリカバリ(逆回復)動作により、ターンオフ損失が発生し、これをリカバリ損失と言います。
このリカバリ時間によっては、ダイオードが破損に繋がる可能性があるため、用途に合わせて適材適所に選定する必要があります。
■整流ダイオード
主に50Hz/60Hzの商用電源からの整流に使用します。インバータ等の高周波からの整流では、リカバリにより破損する恐れがあります。
■高速リカバリ・ダイオード
高周波スイッチング用です。インバータ、チョッパの還流ダイオード、スナバ用のダイオードによく使用されます。
ON電圧が高い傾向にあるため、商用電源の整流に使用すると導通損失が大きくなり効率が悪化します。
また急激にリカバリすると、大きな電圧サージを発生したり、電圧/電流波形が振動したりしますので、注意が必要です。
■ショットキー・バリア・ダイオード
オン電圧が低く、リカバリの発生が少ないため、理想に近いダイオードと言えますが、耐圧が低いのが欠点です。
しかし、近年SiC(シリコンカーバイド)というシリコン(Si)と炭素(C)で構成される化合物半導体材料を使用したSic-ダイオードで600V以上の高耐圧ダイオードを実現可能です (SiではSBDは200V程度まで)。