差動信号を取り扱うのに、計装アンプが便利であることをこれまで紹介させていただきましたが、1点注意点があります。
”CMRR (同相信号除去比)”って知ってますか?差動信号を増幅する上で、重要な性能の一つになってきます。
計装アンプを使った差動増幅の重要な機能は、両方の入力に共通する信号(同相信号、コモンモード信号)成分を除去した上で、差電圧を増幅することです。
コモンモード(同相モード)信号とは、計装アンプの入力両端に同じタイミングでかかる、望ましくないACまたはDC信号の事をいいます。
入力が大きくゆらいだとしても出力はその影響を受けない(ゆらがない)ことが理想です。
入力のゆらぎ、すなわち同相モード電圧の除去能力が大きいものが良い計装アンプとなります。
この除去能力を表すパラメータが、同相信号除去比(Common Mode Rejection Ratio: CMRR)です。
CMRRは入力の同相モード電圧の変化に対する計装アンプ出力電圧の変化の比で表されます。
- 入力同相モード電圧の変化:5V
- 入力に対応した出力電圧の変化:100uV
とすると、
- CMRR = 1/50,000
となります。
仮に、GNDレベルが5V変化した場合に、差動信号が0Vだったとしても、出力に100μVの変化が生じること示します。
CMR(Common Mode Rejection)で表現すると、はCMRRの20logをとりますので、
- CMR = 20 log CMRR = 20 log (1/50,000) = -93.9 dB
増幅率(ゲイン)と周波数が上がればCMRR(CMR)も低下してきますので、用途によっては注意が必要になってきます。