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DC-DCコンバータ設計 電源設計時の着眼点

みなさん、こんにちは。応用機器設計第一部設計第一課の井上です。

「電源」は電気回路における必須部位です。

「電源」には電圧レベルを変換したり、交流と直流を変換したりする機能がありますが、その中でも使用頻度の高い「DC-DCコンバータ」についてお話ししたいと思います。
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「DC-DCコンバータ」は、直流を電圧レベルの異なる直流に変換する装置です。

詳しい設計手法については専門書籍などを参考にしていただくとして、ここでは初心者が設計する際の着眼点についてご紹介したいと思います。

まず、回路設計時の着眼点について、下図の回路例をもとにお話しします。

最初にスイッチング周波数について考えます。

スイッチング周波数は、入力電圧が12Vの場合は300KHz~1MHz、5Vの場合は1MHz~3MHzが適正範囲です。周波数を高くするメリットは、コイル(L)のインダクタンスを小さくして、装置を小型化できることです。一方で、スイッチングによる損失(=熱)やノイズが増えるデメリットがあります。

次にコントローラ(IC)およびコイル(L)、出力コンデンサ(CL)について考えます。

出力コンデンサにセラミックコンデンサ等の低ESR品を使用する場合は注意が必要です。コントローラは出力電圧を一定にするためフィードバック制御を行っていますが、低ESR品を使用すると、フィードバック制御の位相余裕が減少し、回路の安定性が低下する場合があります。安定性が低下すると、出力電圧が振動してリプル電圧が大きくなったり、負荷急変により電圧が大きく変動したりします。

したがって、出力コンデンサにセラミックコンデンサ等の低ESR品を使用する場合は、使用するコントローラがセラミックコンデンサに対応しているか確認することが必要です。

なお、セラミックコンデンサ対応のコントローラには、ESRが低くなりすぎないように補正抵抗RSENを挿入して補正するものもあります。

一方、補正抵抗が不要なコントローラは、コントローラ内部に進相回路を設けて対応していますが、周辺部品の定数に依存しますので、ICメーカーの推奨回路から逸脱しないように注意します。具体的には、コイルと出力コンデンサからなるカットオフ周波数と、電圧検出抵抗RFB1,2を推奨回路の定数に合わせるようにします。

次にスイッチング素子であるMOSFET(Q1)と整流用ダイオード(SD)について考えます。

回路例では、PチャネルのMOSFETとSBD(ショットキー・バリア・ダイオード)を使用しており、出力電流が小さい(概ね2A以下)場合に適しています。

出力電流が大きい場合、整流用ダイオードにおける損失が増加して、放熱処理が難しくなります。そのような場合は、整流ダイオードの代わりにMOSFETを使用する、同期整流という方式を採用します。同期整流方式の場合、2つのMOSFETを交互にスイッチングさせて制御する必要があるため、専用のコントローラを用います。

今回のお話はここまでとさせていただきます。次の機会にはDC-DCコンバータのパターン設計時の着眼点についてご紹介したいと思います。

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