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電源機器の寿命検証

こんにちは。電源設計課 電源設計ユニットの木下です。
私は現在、電源機器の開発を担当しております。
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電源機器には電解コンデンサ、フォトカプラ(光通信デバイス)、リレーなど、部品として製品の耐用年数を満足しなければならず、寿命計算や電気評価にて寿命の検証を行うものが数多く存在します。

以下に電気評価の事例をご紹介いたします。

電解コンデンサ

電解コンデンサは小型大容量で安価であるため、電源機器に多用されています。

電解コンデンサは使用温度が高いほど寿命は短くなる傾向にあり、一般的に温度が10℃下ると寿命が2倍に伸びるという10℃2倍の経験則がよく知られています。周囲温度と寿命の関係は以下の式で与えられます。

Lx:電解コンデンサの実使用時の推定寿命(単位:時間)
Lo:電解コンデンサの規定寿命(単位:時間)
Bt:温度加速係数(一般的には2)
To:電解コンデンサの使用上限の温度(単位:℃)
Ta:電解コンデンサの実使用時の周囲温度(単位:℃)

※厳密には電解コンデンサの充放電電流(リプル電流)による自己発熱を考慮した式になり、電解コンデンサの型名ごとに寿命計算式を確認する必要があります。

上記の式で算出された電解コンデンサの推定寿命(LX)に対して、1日24時間あたり該当電源回路の動作する時間が何時間あるかによって、電解コンデンサの寿命が何年に相当するかを算出します。

電解コンデンサの寿命が製品耐用年数に満たない場合は、電解コンデンサの再選定が必要になります。(具体的には、電解コンデンサのリプル電流による発熱が耐用年数に大きな影響を与えます)

対策として、容量が大きなもの、低インピーダンスのもの、使用上限温度が高いもの、長寿命のものを再選定して、電解コンデンサの寿命が製品耐用年数を満足するようにします。

フォトカプラ

フォトカプラは電気信号をデバイス内で光信号として伝達することによって電気的に絶縁することができる部品です。絶縁型の電源回路やパワーデバイスの駆動用などに多用されています。

フォトカプラはデバイス内部LEDの光によって信号を伝えており、LED発光効率は経年劣化します。そのため、LED発光効率が劣化すると信号が伝わりにくくなります。

フォトカプラの寿命を見る際は、電気パラメータとして電流伝達率(CTR:Current Transfer Ratio)がよく使われます(単位:%)。

 

IC:出力コレクタ電流(単位:mA)
IF:順方向LED入力電流(単位:mA)

 

CTRは稼動時間によって徐々に劣化し、フォトカプラの型名・IF・温度等によって変わります。(IFが大きいほど、温度が高いほど、CTRは早く低下する。)

そのため、フォトカプラの寿命は仕様書に沿って試算する、あるいはメーカーに問い合わせをして試算してもらうなどします。

フォトカプラの寿命が製品耐用年数に満たない場合は、IFの見直しもしくはフォトカプラの再選定が必要になります。

以上、電解コンデンサとフォトカプラを例に取り寿命検証についてご紹介いたしました。これらの内容は、電源の新規設計のみならず、生産中止部品の置き換えなどの改良設計においても行っております。新規設計,生産中止対応の別を問わず、お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

 

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