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パワエレ用スイッチングデバイスとしてのGaNパワー半導体(GaN-FET)の現状

電源設計課の道津です。当社ブログをご覧くださり誠にありがとうございます。

今回のブログでは、パワエレ用スイッチングデバイスとしてのGaN-FETについて、少しお話しさせていただきます。

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私事になりますが、今からちょうど10年前の2011年、私は入社したての新人でした。その年の主な業務はパワーデバイスの評価でした。

その中で次世代スイッチングデバイスとして期待されるGaNパワー半導体(GaN-FET)の評価を行いました。

当時GaNデバイスの知識がほとんどなかった私は、一般的なスイッチングデバイスであるSi-MOSFETとGaN-FETとの構造・特性の違いに驚きの連続だったのを覚えています。

 

当時GaN-FETはすでに高周波回路用のデバイスとして実績がありましたが、そのオン抵抗の低さや高速スイッチング性能から、パワエレへの応用も大いに期待されており、各メーカーで実用化に向けデバイスの試作・評価が行われていました。

それから10年が経った現在、GaN-FETは下記のような課題について一定の解決策がなされ、パワエレ向けのスイッチングデバイスとしても実用化されています。

 

◆ GaN-FETの解決された課題の例

⇒ノーマリーOFFの実現

基本的にGaN-FETは、ゲートにHEMT構造を持つノーマリーONのデバイスですが、パワエレ用として使用する際に回路故障等でゲート電圧供給が途絶えると常時大電流がデバイスと回路に流れてしまい危険なため、ノーマリーOFFの実現は必須の課題でした。
現在では、解決策としてゲートにSi-MOSFETを接続するのが一般的です。

⇒電流コラプスの解消

電流コラプスとは、GaN-FET材料製造に生じた欠陥に起因する問題で、高電圧スイッチング時にオン抵抗が増加する現象です。パワーデバイスとして使用する際は、回路によっては数百Vもしくはそれ以上の高電圧がデバイスに加わるため、この現象が発生しやすく、大きな課題の一つでした。
この課題は、成膜技術の向上により解消されました。

 

これらの課題を解決してもなお、ゲートドライバ回路の寄生インダクタンスによるスイッチング損失増大・信頼性低下等の問題がありましたが、近年はゲートドライバ回路(Siゲートドライバ)一体化によりこれらの性能が向上したデバイスや、より高品質・高信頼性が求められる車載向けのデバイス(保護回路等も一体化したモジュール)も登場しています。

 

 

WTIでは今回紹介したGaNの他、SiCなどの新素材パワーデバイスの評価、またそれら新素材デバイスを用いたパワエレ回路の設計評価も対応可能です。パワーデバイス・パワエレ回路でお悩みでしたら、ぜひ当社にお声かけ下さい。

 

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