パワーコンディショナとは ~太陽光発電システムの縁の下の力持ち~

投稿日:2017年09月05日最終更新日:2026年08月25日

三宅

みなさんこんにちは。電源設計二課の三宅です。
今回は電源設計二課に関連する技術分野についてご紹介します。

最近、住宅の屋根や郊外の広大な土地など、さまざまな場所で太陽電池パネルを目にすることが多くなりました。FIT(再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)の開始をきっかけに、太陽光発電システムは急激に普及しました。
さらに現在では、電気代の高騰や災害対策への意識の高まりにより、その重要性は一段と増しています。太陽光発電システムを動かすには、太陽電池パネルのほかに「パワーコンディショナ(以下、パワコン)」と呼ばれる装置が不可欠です。
今回は、このパワコンの「主な役割」と「保護機能」について詳しく解説していきます。

パワーコンディショナの役割

図1に示すように、パワコンは、太陽電池パネルで発電された直流電力を交流電力に変換するインバータ回路やDC/DCコンバータ回路と、それらを制御し、電力系統との連系に必要な保護機能を担う制御回路などで構成されています。

図1.太陽光発電システムのイメージ図

太陽光発電システムに加え風力発電システムなどの再生可能エネルギー(以下、再エネ)の普及に伴い、大量の分散型電源が電力系統に接続されることでパワコンには電力系統の安定を守ることへの重要性が増しております。

ひと昔は再エネの量が少なかったため、電力系統でトラブルが発生した際、パワコンはすぐに運転を止めれば安全でした。しかし、再エネの導入量が増えた現在、多くのパワコンが一斉に止まると、電力系統の電気が一気に変動し、最悪の場合大停電(ブラックアウト)を起こす危険があります。
そのため、現在のパワコンには、電力系統の電圧や周波数の乱れを自らコントロールして、停電を防ぎ、電気の質を安定させるための高度なサポート機能が義務付けられています。
具体的には、以下のような保護機能が必要とされています。

パワーコンディショナの保護機能

FRT(Fault Ride Through)機能

落雷などのトラブルにより電力系統(送配電網)の電圧が一瞬だけ低下した際、パワコンが即座に運転を停止することなく、一定時間踏みとどまって発電を継続することで、電力系統(送配電網)全体の崩壊(大停電)を防ぐ機能。
もし一斉にパワコンが停止してしまうと、日本全体の電力の「作る量」と「使う量」のバランス(同時同量)が瞬時に崩れ、連鎖的な大停電(ブラックアウト)を引き起こす危険性があります。
電圧が一瞬だけ低下した際は、供給元であるパワコンから電気を送り続け、電力系統全体が故障・崩壊するのを防ぐために不可欠な保護機能です。

出力制御 機能

電力の需要(消費量)と供給のバランスが崩れそうな際、電力会社からの遠隔指令に基づき、供給側であるパワコンが発電出力を自動で抑制・調整する機能。
電気は「作る量」と「使う量」が常に一致(同時同量)していなければ、電力系統全体が故障し大停電を引き起こす特性があります。五月晴れの休日など「消費量が少ないのに再エネがガンガン発電する日」に、供給元であるパワコンという“蛇口”をコントロールして、電力系統(送配電網)の崩壊を防ぎ、電気の安定供給を継続させるために不可欠な保護機能です。

無効電力制御 機能

太陽光や風力発電の急激な出力変化によって地域の電圧が乱れそうになった際、供給側であるパワコンが「無効電力(電圧を調整するための電気)」の量を自らコントロールして注入・吸収し、系統の電圧を適正値に維持する機能。
電気は、供給量や消費量の変化、あるいは電線の特性によって、ルート上の電圧が常に上下に揺さぶられる特性があります。電圧が適正範囲(100V前後など)を外れると、工場や家庭の電気機器が正常に動かなくなるリスクが生じます。供給元であるパワコンが、発電の有効活用を落とさずに電気の“バランス”だけをリアルタイムで微調整し、電力系統全体の安定と高品質な電気の供給を継続させるために不可欠な保護機能です。

まとめ

以上、今回はパワコンの役割と、各種保護機能について簡単にご紹介しました。
特に保護機能に関しては、今回は概要のみの解説となったため、少し難しく感じられた部分もあったかと思います。これらの仕組みを深くご理解いただくためには、パワコンの「内部ブロック(回路の構成)」に一歩踏み込んで見ていく必要があります。
そこで、内部の具体的な仕組みについては、次回の記事で詳しく解説させていただきます!
ぜひ楽しみにしていてください。

電源設計二課の課員は、パワコンの開発,設計,蓄電池の充放電や系統連系も含む各種評価などのパワーエレクトロニクス分野で、世の中のエコに貢献すべく、日々開発・設計・評価の諸課題と格闘しています。
また、その他システム電源の設計やEOL(生産中止・ディスコン)の検討など、電源に関わる開発に幅広く取り組んでいます。何かパワーエレクトロニクス分野においてご要望がありましたら、お気軽にご相談下さい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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