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電源回路の安定動作のための位相補償

初めまして、入社4年目になりました電源設計課の久保です。
主に電源の性能評価業務を担当しながら、設計業務に必要となる様々な知識の習得に努めています。

WTIでは社内講座に力を入れており、既存の講座だけでなく、自分が興味や関心を持っていることについて、参加者を募って勉強会を開くこともできます。今回は私が主催している勉強会で、直近に題材として挙げられた位相補償に関係する話をお話しさせていただきます。

電源回路における位相補償とは、電源基板に数多く実装されているCやLによって発生する位相のズレをコントロールして回路を安定動作させる技術のことです。

交流回路に抵抗R、コンデンサC、コイルLをそれぞれ独立で繋いだ回路として、電圧と電流の変化をみると、図1のように、抵抗のみならば電圧と電流は同位相に、コンデンサのみならば位相は90°進み、コイルのみならば位相が90°遅れます。

電源基板には数多くのCやLが実装されているので位相のズレが発生します。この位相差が大きくなればなるほど(位相のズレが180°に近づけば近づくほど)、回路の動作は不安定になるので、何らかの手段でこの位相のズレをコントロールする必要があります。

 

図1. 電圧と電流の位相

 

回路の安定性を確認するのに最も一般的なのが、ボード線図を用いた位相余裕による安定判別法です。

ボード線図は、ゲイン線図と位相線図を組み合わせたもので、ここでは図2のような伝達関数G(s)をもつ帰還回路を例として示します。定数Kはフィードバック係数、ωnはカットオフ周波数と定義されるものです。

 

図2. 帰還回路の伝達関数の一例

 

図2のような伝達関数をボード線図に書くと、図3のようになります。位相余裕の定義はゲインが0dBの時の位相と-180°の差です。図3の点線を見ると、ゲイン線図から0dBの動作周波数が10kHzであり、位相線図から10kHzでの位相が-180°であるので、位相余裕がほとんどないことが判別できます。

 

図3. ボード線を用いた安定性の確認

 

このような不安定な回路を安定動作させるために、位相補償が必要となります。図2で示した回路に図4のように位相補償の伝達関数C(s)を組み込み、その結果を図5のボード線図に示しました。z及びpはC(s)の極であり、ωnと同じ働きをするものです。

図5のボード線図を、図3の場合と比較すると、図5の点線からゲイン0dBでの位相が約-100°に変化して、約80°の位相余裕が生じていることが読み解けます。位相補償を組み込むことで、回路動作の安定性を高めることができました。

 

図4. 図2に位相補償回路を組み込んだ例

 

 

図5. 位相補償を加えたボード線図の変化

 

いかがでしたでしょうか?
位相補償を用いて回路動作の安定性を高める一例をご紹介させていただきました。

電源回路では、G(s)は各種コンバータに対応し、Kは負帰還回路に当たります。この場合、位相がズレたままだと、出力電圧を下げる制御が逆に伝わり、出力電圧が際限なく上がって発振してしまう、といった現象を引き起こす可能性があります。このため電源設計には、位相に関する正しい知識が必要となります。

WTIでは技術の習得に貪欲な若手の技術者が多く、日夜研鑽を重ねています。もちろん経験豊富な技術者も多く在籍しており、基礎から応用に至るあらゆる知識に精通しています。もし、電源回路の設計や電源の評価などでお困りごとがあれば、お気軽にお問い合わせください。

 

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