CAE解析を活用した機構(筐体)設計|強度を数値で確認し、過剰設計を抑える

投稿日:2021年07月20日最終更新日:2026年09月29日

みなさん、こんにちは。構造設計課の中島です。
現在、私は主に板金やダイキャストを使用した機構(筐体)設計を担当しています。

機構(筐体)設計を行っていると、
「この板厚で本当に強度は十分だろうか?」
「荷重が加わったときに変形しないだろうか?」
「補強板金を追加した方がよいだろうか?」
といった、筐体や部品の強度に関する悩みが出てくることがあります。

今回は、こうした設計課題に対して、3D CADによる簡易解析やCAEによる詳細解析を活用して強度を数値的に確認する方法について、機構(筐体)設計者の視点から板金筐体を題材にご紹介します。

板金筐体の強度を上げるだけでは「良い設計」とは限らない

板金筐体の強度に不安がある場合、対策としてまず思いつくのが、
・板厚を厚くする
・補強板金を追加する
・リブや補強部品を追加する
といった方法です。

もちろん、これらは強度を高めるうえで有効な方法です。しかし、必要以上に板厚を増やしたり、補強部品を追加したりすると、材料費や加工費の増加によるコストアップだけでなく、製品重量の増加にもつながります。

そのため、「念のため強くしておこう」という考えだけでは、必ずしも最適な設計とは言えません。重要なのは、どの程度の強度が必要なのかを把握し、必要十分な構造にすることです。そこで役立つのが、CAEを用いた応力解析です。

CAE解析を使って板金筐体の強度を数値で確認する

私は機構(筐体)設計に携わる前にCAE解析業務を担当していました。
現在の筐体設計業務でも、その経験や知識を活用し、強度に不安がある部分については可能な限り解析を行い、数値的な設計根拠を持つことを心がけています。

CAE解析を活用することで、
「おそらく大丈夫だろう」
という感覚的な判断ではなく、
「この荷重条件では最大応力が○○MPaであり、設計上の許容値に対して十分な余裕がある」
といった、定量的な判断ができるようになります。

また、解析結果をもとに板厚や補強構造を見直すことで、過剰設計を抑えながら必要な強度を確保する機構(筐体)設計にもつなげることができます。

3D CADの解析機能でも簡易的な強度確認ができる

「CAE解析」と聞くと、Abaqus、Ansys Mechanicalなどの解析専用ソフトウェアをイメージされる方も多いかもしれません。しかし、最近では3D CADに簡易的な応力解析(強度解析)を行う機能が搭載されているツールも多くあります。

そのため、3D CADで設計を進めながら、
「このブラケットは荷重に耐えられるか」
「この板金部分の変形量は問題ないか」
「この板厚で十分な剛性が確保できているか」
といった設計上の不安を、その場で計算して確認することも可能です。

機構(筐体)設計者自身が簡易解析を活用できれば、設計と解析を行き来しながら形状を検討できるため、設計初期段階で問題を発見して対策を打てるというメリットがあります。

複雑な解析は解析専用のCAEツールの活用がおすすめ

一方で、すべての現象を3D CADの簡易解析だけで評価できるわけではありません。

例えば、
・製品落下などの衝撃解析
・輸送や地震を想定した振動解析
・温度変化で部材間に発生する熱応力解析
・非線形解析(材料非線形、幾何学的非線形)
・接触を含む複雑な構造解析
・発熱部品を含む熱解析
・ファンや空気の流れを考慮した熱流体解析
などは、解析専用のCAEツールを使用した方が適切な場合があります。

製品の仕様や使用環境に合わせて、3D CADによる簡易解析と解析専用のCAEによる詳細解析を使い分けることが重要です。当社では、構造・熱に関するCAE解析サービスも行っています。

・熱流体解析を用いた放熱対策のご紹介
・応力解析を用いた強度検証・対策のご紹介

筐体の強度や放熱設計などでお困りの際は、ぜひご覧ください。

CAE解析では「条件設定」と「結果の妥当性確認」が重要

CAEは、材料物性値や荷重条件などの必要な情報を入力すれば、比較的簡単に解析結果を得ることができます。しかし、ここで特に注意しなければならないのが、
「得られた解析結果が本当に妥当なのか」
という点です。

例えば強度解析の場合、同じ形状・同じ材料物性値を使用していても、拘束条件や荷重条件の設定方法によって解析結果は大きく変わります。
実際の製品では自由に変形できる部分を完全固定して解析すると、本来とは異なる応力が発生することがあります。反対に本来固定されている部分を十分に拘束しなければ、実際よりも変形量が大きくなる可能性もあります。

そのためCAE解析では、
・実際の製品に近い拘束条件になっているか
・荷重の方向や大きさは適切か
・材料物性値は適切か
・メッシュサイズは適切か
・解析結果の変形や応力分布に不自然な部分がないか
などを確認しながら、解析結果の妥当性を判断することが重要です。

この部分には、ある程度の実務経験やノウハウが必要になります。

解析結果が予想と違うときこそ原因を考える

私自身も、解析を行えば毎回想定通りの結果が得られるわけではありません。予想していた場所とは違う部分に大きな応力が発生したり、想定以上に変形したりすることもありました。

そのような場合は、
「解析条件は適切だったか」
「実際の固定方法を正しくモデル化できているか」
「荷重の伝わり方を正しく考えられているか」
などを一つずつ確認していきます。

判断に迷う場合には経験豊富な技術者に相談しながら、私自身も日々解析技術を学んでいます。
CAE解析は、単に結果を見るためのツールではなく、構造や力の伝わり方の理解を深め、より良い設計につなげるためのツールだと感じています。

こんなお悩みはありませんか?

3D CADを使用して設計をされている方の中には、次のようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
・3D CADに解析機能があることは知っているが、使いこなせていない
・CAE解析をしてみたが、結果が正しいのか判断できない
・筐体や板金部品の強度を確認したい
・板厚や補強板金が適切なのか判断したい
・設計業務が忙しく、解析まで手が回らない
・製品落下などの動解析を実施したい
・発熱や空気の流れを含めた熱流体解析を行いたい
・応力解析や熱解析の結果から、具体的な設計改善につなげたい

このようなお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
当社では、機構(筐体)設計の技術者と、応力解析・熱解析を担当するCAE技術者が連携し、設計と解析の両面から課題解決を支援しています。

単に解析結果をご提示するだけでなく、
「どこに問題があるのか」
「なぜその結果になったのか」
「どのように形状を改善すればよいのか」
という視点から、お客様の製品開発をサポートいたします。

筐体設計や強度検討、応力解析、熱解析、熱流体解析などでお困りの際は、ぜひ当社へご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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