こんにちは。電源設計課の西川です。

 

ACフィルタの役割は、電源ラインを通じて出入りする不要なノイズを抑制し、機器の安定動作を実現することです。ACフィルタの設計において、従来は過去の回路実績を参考に試作を行い、その後のノイズ測定を通じて仕様を確立していく手法が一般的でした。本ブログでは、設計段階でACフィルタ回路の周波数解析を行うことで、電源回路設計の精度向上とノイズ評価試験の効率化を実現する手法を解説します。

周波数解析の手順

周波数解析を行うための手順を以下に示します。

・手順① 構成部品のモデル化

                     周波数解析を行うためインピーダンス-周波数特性を合わせ込んだ構成部品のモデル化

・手順② ACフィルタ回路の解析モデル作成

                    モデル化した部品でACフィルタ回路の作成

・手順③ ACフィルタ回路の周波数解析

                     周波数解析の実施

 

手順① 構成部品のモデル化

ACフィルタの周波数解析に向けて、各部品のインピーダンス-周波数特性を反映したシミュレーションモデルを作成します。

例としてコモンモードチョークコイルのモデル作成方法を紹介します。

1.図1のインダクタンス成分のみのコモンモードチョークコイルを作成します。

2.共振周波数を設定するコンデンサを並列に追加します。

3.共振点のインピーダンスを調整する(下げる)ため抵抗を並列に追加します。

4.メインの共振点以外の変曲点を追加するため、3で追加した抵抗を分割し、片側の抵抗と並列にインダクタを追加します。

作成したモデルと周波数特性は図2のようになります。

図1 インダクタンス成分のみのモデル

図2 周波数特性を考慮したモデル

 

手順② ACフィルタ回路の解析モデル作成

次に周波数特性を解析するための回路を作成します。

図3 ACフィルタ回路

 

手順③ ACフィルタ回路の周波数解析

作成したACフィルタ回路の解析を行います。

図4のとおり、周波数特性を考慮したモデルとインダクタンス成分のみのモデルの解析結果に大きな差が確認できます。実際にはパターンやノイズ源との距離など、他の要因があるためまったく同じ結果にはなりませんが、ノイズ評価試験で得られる結果と相関性の高い解析結果が得られます。

また、解析を実施するにあたり各部品の容量・インダクタンスの大きさや部品の構成で周波数特性がどのように変化するか確認することで設計を効率的に行うことができます。

図4 減衰量―周波数特性

実機レベルのノイズ評価試験時の対応

これまでACフィルタの設計は、経験や過去の仕様に基づいた試作と、ノイズ評価試験によるカットアンドトライの要素が多くありました。しかし、事前のシミュレーションによる検討を導入することで、その解析結果をあらかじめ回路設計に反映することが可能となります。 さらに、実機での評価試験において、ある特定の周波数帯でノイズ低減の必要性が生じた際にも、各部品の影響度を事前に把握しているため、迅速かつ的確な対策を講じることが可能です。

ACフィルタの設計、ノイズ対策でお困りの際は、今回のブログをご参考にしていただけますと幸いです。

 

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