みなさん、こんにちは。システム設計課の小川です。
最近、輸入したWi-Fi製品を国内で使用や販売をするために技術基準適合証明(技適)を取得したいというお客様が多数いらっしゃいます。
(当社の技適の事前評価・申請代行サービスはコチラ)
しかしながら、輸入したWi-Fi製品は日本向けに調整されておらず、そのままで受検しても技術基準適合証明(技適)を取得できない場合が大半です。その理由をご説明します。
① 送信パワーが大きすぎる
国によって許容される送信パワーの規格値が異なります。
日本の電波法では諸外国に比べると送信パワー(電波法では「空中線電力」と呼ばれる)の規格値が低く規定されています。
そのため、輸入したWi-Fi製品は国内の規格値よりも送信パワーが大きい場合が大半で、国内の規格値を満たすことができず、「NG」判定となり技術基準適合証明(技適)を取得することができません。
② 使用できる周波数が異なる
Wi-Fiで使用を許可された周波数帯は2.4GHz帯と5GHz帯がありますが、5GHz帯で使用できる周波数帯は、国ごとに異なります。
5GHz帯は使用可能な周波数帯をW52、W53、W56、W58としばしば呼ばれることがあります。日本では下表のようにW58は使用が許可されていません。
そのため、輸入したWi-Fi製品がW58に対応した製品の場合はソフトウェア等でW58では動作しないように制限をかける必要があります。
呼称 |
周波数 |
日本 |
アメリカ |
欧州 |
中国 |
W52 |
5150MHz~5250MHz |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
W53 |
5250MHz~5350MHz |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
W56 |
5470MHz~5725MHz |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
W58 |
5725MHz~5850MHz |
× |
〇 |
× |
〇 |
③ 日本固有のDFSパターンに対応している必要がある
5GHz帯Wi-FiアクセスポイントにはDFS(Dynamic Frequency Selection)機能が義務付けられており、技術基準適合証明(技適)取得時にも試験が実施されます。
DFS機能とは、5GHz帯の特定のチャンネルでは気象レーダーなども使用しているため、レーダー波を検知した場合、自動的に他のチャンネルに変更する機能です。さらに、そのチャンネルはレーダー検知後、しばらく出力してはいけません。レーダー波は様々な信号パターンで出力されており、これら様々な信号パターンを検知してDFS機能が動作する必要があります。
また、日本固有の信号パターンも存在しており、輸入製品の場合は対応していない場合があります。その場合はWi-Fi機器の製造メーカーに日本固有の信号パターンにもDFS機能が動作できるように対応してもらう必要があります。
以上のように、輸入したWi-Fi製品そのままでは技術基準適合証明(技適)を取得できない場合があります。
Wave Technology(WTI)では、これらに対応する事前評価から必要な調整評価も行い、認証機関の審査合格までをご支援することができます。
その他、様々なご要望にも対応させていただきますので、お気軽にご相談ください。
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