Wave Technology(WTI) | 半導体周辺回路とその応用製品の開発・設計会社

WTIは技術者不足を解決する「開発設計促進業」です

電源回路の電気的特性や性能確認、評価方法について

電源回路の評価について

安田

 はじめまして。こんにちは、電源設計課の安田です。

 電源課に配属されてから3年目になりますが、今回はこれまでの私の仕事についてお話しします。2年目の私の主な業務は、お客様から依頼いただいた電源回路の評価業務でした。(将来は設計業務もこなしていきたいので現在は電源回路について勉強中です!)

 電源回路の評価の項目は多岐にわたりますが、WTIでは依頼内容に臨機応変に対応しています。私にはまだ難しいですが、先輩方は単純に評価するだけでなく、評価結果に懸念点があれば改善案をお客様に提案することもあります。経験を積んで私もできるようになりたいです!

 今回は私が今まで行ってきた電源回路の評価内容の一部を紹介します。

効率の測定(入力電力・出力電力→効率)

 

電源回路 損失のイメージ

図1.電源回路 損失のイメージ

 

 まずは電源回路の効率の測定についてです。効率とは入力電力に対する出力電力の割合であり、入力電力から出力電力への変換効率が大きければ電源回路内での損失が小さい電源となります。この測定によって電源として能力を確認することができます。入力と出力の電力はパワーメータやマルチメータを使い正確に測定し、下記の式で効率や損失を算出します。入力条件や出力条件、環境温度など電源回路の動作条件を様々に変化させながら測定します。

効率(%) = 入力電力(W)÷出力電力(W)

損失(W) = 出力電力(W) - 入力電力(W)

部品の最大定格確認

 次に部品の最大定格確認について説明します。基板上の部品(抵抗やコンデンサ、コイルなど)には許容できる電力や電圧、電流の限界があり、それを最大定格電力や最大定格電圧、最大定格電流といいます。

 各部品の電圧・電流を測定し、各部品のデータシート等に記載されている最大定格に収まっているのかを確認します。電源の起動や停止時、動作条件を変化させたときなど、様々な条件で測定します。最大定格に収まっていないと部品の破損が生じる、寿命が短くなるなど、品質問題が発生するため、定格を超えた場合には代替品を探すか、電流・電圧を抑える手段(回路変更など)を考える必要があります。

 動作条件を変えながら多くの部品の電圧や電流の測定が必要で手間がかかる評価ですが、電源回路の品質に直結する重要な評価になります。

出力リップル・スパイク測定

 最後に出力リップル・スパイク測定についてです。DC/DCコンバータを例に挙げます(図2)。DC/DCコンバータは入力電圧を欲しい出力電圧に変換する回路です。FETのON/OFFを制御(スイッチング)して電圧を変換するため、スイッチング電源回路とも呼ばれます。この回路にはスイッチングによる電圧の変動を平滑化するための出力コンデンサが入っていますが、そのコンデンサで平滑化しきれずに出力電圧に微小な電圧変動が発生します。この電圧変動をリップル電圧と呼びます。リップル電圧が大きいと出力先のシステムが誤作動を起こしてしまう原因となります。

 

AC/DCコンバータと出力電圧

図2.AC/DCコンバータと出力電圧

 

 また、スイッチング電源回路では、FETがON/OFFするタイミングで高周波ノイズが発生するため、このノイズもリップルと同じように出力電圧に現れます。これはスパイク電圧と呼ばれます。スパイク電圧が大きいと、電源の出力に接続される回路の素子を破壊する原因になることがあります。出力リップル・スパイクの測定は、他の素子や回路に影響が出ないことを確認するための、電源回路には欠かせないものです。

 リップル・スパイク電圧はオシロスコープで測定します。図3は実際に測定した波形の一例になります。オシロスコープのACカップルモードで測定しています。画面中央部分でわずかに揺れているのがリップル電圧で、上下に大きく飛び出ているノイズがスパイク電圧になります。リップル・スパイク電圧が大きい場合は、平滑コンデンサの容量アップやノイズ発生を抑える回路の追加、スイッチング制御の調整などを行います。

 

出力リップル・スパイク電圧の測定波形

図3.出力リップル・スパイク電圧の測定波形

 

 今回は電源評価の一部を紹介しましたが、他にも電源の信頼性や能力を確認するための評価を行っております。これらは一般的な電源回路の評価で行う内容ですが、電源回路はいろいろな回路方式があるため、評価する回路に適した測定方法を考えながら作業をしています。

 

 WTIでは電源の評価はもちろん電源回路の設計も行っていますので、電源回路の設計、評価の委託を検討される際は是非WTIにお問い合わせください。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

電源の設計、評価のお問い合わせ

 

<関連リンク>

 © 2005 Wave Technology Inc.