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フライバックコンバータについて

第一技術部電源設計課の福本です

みなさん、こんにちは。第一技術部電源設計課の福本です。

今回はフライバックコンバータについて説明したいと思います。
フライバックコンバータは、DC-DCコンバータの一種で、電力を効率的に変換するための回路で、主に電源供給装置や電力変換回路に使用されます。
電力範囲としては、高電力(数百W以上)には適しておらす、主に低電力から中電力(100W以下)で使用されます。

フライバックコンバータの基本的な機能と動作について説明します。

 

フライバックコンバータの基本構造

フライバックコンバータは主に以下の部品で構成されており、回路図(概略図:図1)は以下になります。
SW1 :スイッチ(MOSFETやトランジスタ)
T1  :トランス(フライバックトランス)
D1  :ダイオード
Cout  :出力コンデンサ

図1.フライバックコンバータ回路図(概略図)
図1.フライバックコンバータ回路図(概略図)

トランス(T1)入力側を一次側、出力側を二次側と呼びます。トランスは内部に一次側のコイルと二次側のコイルがあり、このコイルは磁気で結合しています。この結合により一次側から二次側にエネルギーが伝わります。

 

フライバックコンバータの動作原理

フライバックコンバータの動作原理は、トランス(T1)のエネルギー蓄積と放出に基づいています。
以下の3つの基本的な動作フェーズがあります。

(1)スイッチオン(エネルギー蓄積)

スイッチ(SW1)をONすることで、入力電圧がトランス(T1)の一次側コイルに印加され、トランスの一次側コイルに電流が流れてエネルギーが蓄積されます。

(2)スイッチオフ(エネルギー放出)

スイッチ(SW1)をOFFすることで、トランス(T1)逆起電力を利用して、一次側コイルに蓄えられたエネルギーが二次側コイルに放出されます。

(3)出力電圧の整流、平滑化

二次側コイルから放出されたエネルギーは、接続されたダイオード(D1)、出力コンデンサ(Cout)を通じて、整流、平滑化されます。(図1の青矢印)
尚、入力電圧(Vin)に対し、スイッチ(SW1)のON/OFFする時間を変更することで、出力電圧(Vout)の制御を行うことが可能となります。

基本的な動作は上記のとおりですが、スイッチ(SW1)をONするタイミングの違いで、フライバックコンバータは3つの種類(モード)に分類されます(図2)。二次側に電流が流れていない状態でスイッチ(SW1)をONするのを不連続モード、ちょうど電流が流れなくなったタイミングを狙ってONするのを臨界モード、二次側に電流が流れている状態でONするのを連続モードと呼びます。
より高い効率での電圧変化が必要な場合は、一般的に不連続モードや臨界モードでの動作が選ばれます。
一方で電力を大きくしたい場合は連続モードで動作させます。

図2. 動作モードのスイッチ(SW1)オンのタイミング
図2. 動作モードのスイッチ(SW1)オンのタイミング

 

フライバックコンバータの特徴と利点

(1)  絶縁性

フライバックトランスは一次側と二次側を電気的に絶縁するため、安全性が高く、
異なる電圧レベルのシステム間の絶縁が必要な場合に適しています。

(2)  コンパクト

比較的少ない部品で高い電力変換が可能です。

(3)  簡易性

比較的シンプルな回路で構成されるため、設計や製造が容易です。

 

フライバックコンバータの用途

(1)  AC-DC電源供給装置

家庭用電源から直流電源に変換するために使われます。

(2)  電圧変換

一次電圧から異なる二次電圧に変換するために使用されます。

(3)  小型機器

コンパクトで効率的な電源供給が求められるデバイスに利用されます。

フライバックコンバータは、比較的少ない部品数で構成できるため、非常に多くの用途の電力変換システムで利用されています。身近な製品ではUSB充電器などがあります。
WTIではフライバックコンバータ以外でも電源回路の設計、評価業務を行っていますので、電源回路の設計、評価の委託を検討される際は是非WTIにお問い合わせください。

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