オシロスコープの波形測定時の注意点!ノイズ対策・メモリ長による測定誤差を解説

投稿日:2024年02月06日最終更新日:2026年07月30日

みなさん、こんにちは。通信機器設計一課の尾﨑です。

今回のブログでは電気信号を測定する際に用いるオシロスコープの波形測定時の注意点についてお話しします。

オシロスコープの波形測定で発生するノイズ

オシロスコープで波形を測定するときに高周波になるほど図1のようなリンギングノイズが発生しやすくなります。また、周辺のノイズが多い場合には図2のように測定波形にノイズが重畳されることがあります。

 

このようにノイズが重畳される原因としてオシロスコープのプローブでの測定方法に問題がある可能性があります。オシロスコープのプローブで波形測定時にGND線を使用していると高周波になるにつれてGND線がインダクタになります。GND線がインダクタになることで、オシロスコープのプローブの入力容量と共振回路ができリンギングノイズが発生する原因となります。

リンギングノイズが発生する場合には、対策としてスプリンググランドを使用してGNDを最短にすることでリンギングノイズを抑制することができます。また、波形にノイズが重畳する状態は主に測定点に長いリード線をつけてから測定する場合に発生しやすいです。対策としてはリンギングノイズと同様にスプリンググランドを使用することが一番有効ですが、リード線をつけないと測定できない場合にはリード線の代わりに同軸ケーブルを使用する方法やリード線の信号ラインとGNDラインをツイストさせることで対策できます。リード線を並列で使用する場合とツイストで利用する場合では図3のようにノイズ(磁束φ)がリード線に加わったときに発生する電流の向きが異なります。

 

図3 リード線におけるノイズ(磁束φ)印加時の電流の向き

 

図3より、リード線を並列で使用した場合は電流がそのまま流れていたのに対し、ツイストさせることで隣同士のツイストした箇所の電流が相対しており打ち消し合うことでノイズを抑えることができます。

 

オシロスコープのメモリ長による測定誤差

オシロスコープにはMath機能(演算機能)が付属していますが、Math機能を使用する際には注意すべき点があります。

通常時の測定では、オシロスコープの画面上に表示される波形は周波数帯域、サンプリングレートに依存しますが、Math機能を使用する場合には上記に加えてメモリ長(レコード長)にも依存します。

高性能のオシロスコープでもメモリ長が短い場合にはMath機能を使用すると正確な波形を取得できない場合があります。例を以下に示します。

 

図4 PWM波生成回路

 

図4の回路図はコンパレータでキャリアである三角波と変調波である正弦波を比較することでPWM波を生成しています。このPWM波をオシロスコープのMath機能を使用してLPFをかけると本来であれば正弦波(PWM波生成時の変調波)の出力を測定することができます。この時にオシロスコープのメモリ長が短いと出力が正弦波ではなくなります。

(実際には、図4の変調波の振幅や周波数、キャリアの周波数によって1周期あたりに必要な測定点が変化しますので、この測定点数を満足するメモリ長が必要になります)

メモリ長と出力波形の関係を図5に示します。

 

図5 メモリ長と出力波形の関係

 

図5からメモリ長が長いときは正弦波の出力が得られていますが、メモリ長が減少するごとに波形が歪んでいき最終的には正弦波が観測できない状態となってしまいます。

ちなみに変調波の振幅が小さいほどPWM波の変動が小さくなり、1周期あたりに必要な測定点が増加します。

以上、オシロスコープの波形測定時の注意点についてご紹介いたしました。測定・評価で何かお困りのことがあればお声がけください。

 

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